会社の街コンに行った話

去年の10月会社の社員専用の電子掲示板でに街コンのお知らせが上がっていた。

「水族館で街コン」参加費の半額2000円は会社から補助金がでるとのこと。水族館に久しぶりに行って癒されたいと思った私は、特に恋愛したいと思うこと気持ちはなく応募してみた。

 11月、水族館で街コン当日。

参加者は男女各8名。胸に番号が書かれたシールを貼って、水族館の順路を8分割して1人づつ一緒に回っていく。そして、水族館を見終わったあとは隣のホテルの喫茶店に移動する。そこで、アンケート用紙が配られて、気になった異性の番号を書いて、カップルを成立させるのだ。

 

私は最後のアンケートに一人の人の名前を書いた。2番目に大水槽前で話した人だった。

彼は建設コンサルタントとして働いてるらしく、私とは正反対の技術男子だった。私の周りにはインテリ!文系!理屈屋!事務職しかいないから、彼は異世界に生きる人に見えてしまって、初めてプロフィールカードを見せてもらった時から気になってた。

彼とは水槽を見ながら取り留めのない話をした。何を話したのかあんまり覚えてないけど、彼の横顔を見てると何だか頼りになるような気がして、何だか心地が良かった。

けどこれは街コンで、決められた時間内に次の通過ポイントまで行かないといけなかったから、私は彼に「もうそろそろ行かないと行けないんじゃない?」と言った。

そしたら彼は頷いてスマホで時計を見た。

「もし、時間オーバーになって探されてしまったら、2人で謝ろう」と笑いながら言った。

するとそのタイミングで、事務局の人が時間になっても来てない私たちを探しに水槽の前をウロウロしていたのに気づいた。そして2人で顔を見合わせて頭を下げた。

 

最後のアンケートでは、気になった人を第3位まで書く。私は街コンで8人の人と話したけど、結局大水槽前で話した彼の名前しか書かなかった。

 アンケートの集計が終わり、自分が座っている机にリトマス試験紙のような細い紙が配られる。そこに自分の番号とカップルになった相手の番号が書かれてあって、カップル不成立なら何も書かれてないらしい。

 

私はそっとその紙を開いてみると、「一緒に謝ろう」と言ってくれたあの人の番号が書いてあった。

 

そしてその人連絡先を交換して一緒にホテルの喫茶店から出た。

「なんて呼んだらいいですか?」

と私は聞くと、彼は背の高い身長をすこし屈めて教えてくれた。